2020年12月20日
テントって何?
皆さんこんにちは、MASADA556です。
一気に真冬になりましたね。
この季節に異常な寒波と積雪による被害が各地で報告されています。
冬キャンプを楽しむ方々も十分注意してキャンプライフを満喫してください。
今回はタイトルの通り、テントについて少しお話してみたいと思います。
ベテランの方々に言わせれば、「何を今さら・・・」なんてご批判をいただきそうですが、ある程度テントという物の基本的な知識がなければ、国産一流メーカーから手ごろな値段の海外製品までものすごい数の中から自分のスタイルにマッチするテントを選び出すこともできません。
初めてテントという未知のモノを購入するときほんの手助けにでもなればと思います。
アウトドアに全く興味のない方々でも「テント」という存在を知らない人間というのもおそらく存在しないかと思います。
ただ、漠然とこんな形で野外にキャンプするときに、中で眠るための道具。といったイメージではないでしょうか?
まぁ、間違いではありませんが、そのテントが自分のようにアウトドアの活動を好む人間たちにとってどれだけ重要なギアであるかという事までは思いつかないとのではないでしょうか?
自分のような若輩が偉そうに言うのも何ですが「キャンプという野外の活動の良し悪しを左右する最重要なギア」と考えています。
したがってできるだけ妥協はしたくありません。
また、自分はこのようなキャンプをしたい。というはっきりとしたイメージを持たずに漠然と安さなどに吊られて購入してしまえばある時とんでもない目に合うかもしれません。
では、キャンプの主役とも言えるテントの選び方をお話してみたいと思います。
テントを購入するときの基準は人それぞれです。
ちょっとしたデイキャンプなら数千円の物でも十分です。
逆に真冬でもキャンプに望むようなヘビーユーザーであればギアの購入基準も厳しいものになっていくでしょう。
大切なのは自分がどのようにアウトドアを楽しみたいのか明確に目的意識を持つ事が大切だと自分は考えます。
デイキャンプや設備の整ったキャンプ場での一泊程度の宿泊であればさほどギアにこだわる必要もありません。
むしろ余り費用をかけずに自宅にある道具類でまかなうようにしたほうが趣味として長くアウトドアを楽しんでいけるかと思います。
問題となるのはそれ以上を望んだ時です。
自分は野山に出向いて行ってそこでいったい何をしたいのか?
ギア選びの基本は全てここからスタートとなります。
誰でも悩むのはどのようなテントが自分の目的に合致しているかよく分からないとゆうことでしょう。
Amazonなどのアウトドア商品のホームページを覗けば様々な国々メーカーからの製品が溢れかえっている状況ですので逆に初心者には選択肢が多すぎます。
ですのでせっかくこのような小さなblogに足を運んでくださった方々に自己流ではありますがちょとした選び方のコツをお話してみます。
自分的にはキャンプの日程は連泊を基本として計画を立てます。
むしろ一泊二日のキャンプというは、何か別の目的のためか、時間がない時以外殆どしたことがありません。
移動はJEEPで入れる所ならどこでも。
と、言ったとこでしょうか。
したがって重さや大きさはさほど気にはしなくても良いという状況です。
ここで自分が重視しているのは頑丈である事と居住性です。
連泊でのキャンプでは常に宿泊地の天候を確認していないと痛い目を見る事になります。
特に今年のように雨が多く時には豪雨に見舞われるような天候では、そうのんびりしていられない事もあるわけです。
ソロキャンプ一年目のとある男性のちょっとしたキャンプの一例です。
晩飯を食べ終わり、ゆったりと晩酌を始めた辺りに雨が降りだしてきました。
涼しくなるなあ。程度に考えていたら西の空が大きく光り雷鳴が鳴り響きました。
同時にバケツをひっくり返したような大雨がキャンプサイトを直撃。
大慌てでタープの下の荷物をまとめだしましたが、今度はタープが盛大に雨漏りし始めました。
たちまち焚き火は消え荷物を纏めてシートを被せているうちにタープの下も池になり始めました。
自分もずぶ濡れです。
そうこうしているうちに風が強まり出して、濡れた地面からペグが抜けそうです。
慌ててペグを打ち直しますが、付属品の細く短いピンペグでは全く役に立たず、真っ暗な森のなかを小さなペンライト一つ手に持って倒木や石を広い集めペグの重しにしました。
何度か滑って転び泥まみれです。
それでもようやくタープとテントのペグを固定し終えました。
しかし、タープに吊るしてあったランタンは水が入って点かなくなり、手元にあったペンライトもいつの間にかポケットから消えていました。
全身濡れ鼠泥まみれ、オマケに左手から出血しているようです。
多分転んだときに何かで切ったのでしょう。
手探りで真っ暗なテントの中に避難して叩き付けるような風と雨の中漸く一息入れた時です。
自分の身体の上にポタポタと雨水が滴っていることに気がつきました。
テントの壁ずたいにも水が染みだして、床のマットや寝袋なども濡れ始めているようです。
ここでは寝られない…
楽天家の彼もようやく事態の深刻さに気がつきました。
さっきまで動き回っていた身体が急激に冷え初夏とは思えない寒さに身体が震えているのです。
とにかく車に戻ろう。
手に入れたばかりの新車に、こんな格好で乗り込むのは流石に抵抗がありますが、そんなことは言っていられなくなりました。
ところが…
Keyが無い!
真っ暗なテントの中手探りでバックのなかを引っ掻き回してみるのですがいっこうに出てきません。
手元が滑り、道具類の入ったケースをひっくり返してしまいました。
床に物が散らばり、足の踏み場もありません。
……
ため息をつき、全てを諦めた彼は、隅っこに押しやっていたマットと寝袋を広げて中に潜り込みました。
余りの寒さにガタガタと身体が震えますが、どうすることも出来ません。
雨脚は弱まってきましたが風の勢いは強くなってきたように感じられます…。
うわ!
何かが顔の上に落ちてきました。
慌てて起き上がろうとして彼は気が付きました。
風の勢いでテントが倒壊してしまったのです。
幸いにも外は明るくなり始めていました。
疲れのせいでしょう、ほんの少しばかり眠ることが出来たようです。
ガチガチに凝り固まった身体を無理矢理動かし、潰れたテントから這い出した彼はその惨状に呆然となりました。
タープを支えていたポールはへし折れて泥の中に埋まっています。
裂けて吹き飛んだタープはガイロープごと愛車に絡まりペグが当たったのでしょう、ドアにいくつもの傷がが出来ていました。
テントの前に集めて置いたはずの道具類は殆どが飛び散って行方不明となっています。
振り返ってテントを見ればそれは最早テントの形をしておらず、まるで丸めたコンビニ袋のようです。
とにかく、帰ろう。
雨風の弱まっている今が撤収のチャンスです。
本当は二泊三日の予定でしたが、それどころではなくなりました。
キャンプの楽しさに目覚め、やっとギアを買い揃えたばかりでしたが暫くは再開できそうにありません。
彼はこのあと雨風に打たれながら二時間以上かけてキャンプ道具の残骸を回収、車に積み込むと帰路につきました。
只し、泥にはまりこんだ愛車を引っ張り出すのに更に小一時間を要し、自宅に着くなり高熱を発して寝込んでしまいました。
これ以降、彼が再びソロキャンプの趣味を再開したかは、不明のままです。
尚、探していたクルマのKeyですが、車にささったままだったそうです。
なんか物語調になってしまいましたが、このような最悪の事態はともかくとして、キャンプを長く趣味としている方々には幾つか思い当たる事があるのではないでしょうか?
テントの事をシェルターとも称するように、自然の中で暮らしていく家、そして雨風寒さ暑さ等の自然の脅威から身を守ってくれるのがテントと言う事になります。
今さら言うべきことでもありませんが、自然はいったん牙を剥けばあらゆる物に容赦はしません。
そんな時、言わば最後の砦ともなる重要なギアな訳です。
そしてそのキャンプ生活をサポートするための各種ギアの信頼性が、このような悪天候の時に大きくかかわってきます。
冒頭でも書きましたように天候を選んでのごく短期間なキャンプならいいのですが、自分のように時間の赦す限り山に籠りたいという人間にとっていかな環境にも耐えうる頑強なテントは必要不可欠なギアの1つであると言えます。
大分前置きが長くなってしまいましたが、自分がいかにテントを重要視しているか御理解されたかと思います。
さて話を進めましょう。
先ずは予算的な問題です。
たまに、安くて良いもの。と言う言葉を聞きますがテントの購入に関してはどうしても不安や不信感がつきまとう事になりますので、できるだけ名前の知られたメーカーの物で人気のあるテントを手に入れるのが無難です。
昔から耳にする有名メーカーが現在も生き残っている理由は「信頼性」なのではないでしょうか。
長い間に蓄積したノウハウを生かせる老舗のテントメーカーの製品が、日本の気候で使用する限り、テントとしての役割を果たせないなとどいう事は通常ありえないからです。
海外メーカーの格安なテントに比べ、確かに割高にはなりますが、それは製品と共に信頼も買うのだという考えで理解していただければお財布の紐も緩めやすいのではないでしょうか?
また、良いテントは幕の縫製や材質、ポールなども良い物を使っているので長く愛用できる利点もあります。
たとえ壊れてもメーカーがリペアパーツを用意していたり、テントの保証期間を設けているメーカーもあります。
その点無名の海外メーカーの製品では壊れたらそこまでで、逆に使い捨てる程度の感覚で購入するべきでしょう。
ただし、最近は高品質なギアやしっかりしたアフターを展開している海外メーカーも出てきているので、国内海外の有名メーカーもおちおちとはしていられないようですね。
冒頭でも書きましたように、何のためのキャンプか?
ここが出発点です。
例えば登山者の考えるキャンプとファミリーで野外のBBQなどを楽しむキャンプではギアについての価値観が全く異なってきます。
当然テントの購入基準など全く逆のものになるでしょう。
登山者が選ぶとなれば、当然のこととして、小型軽量、容易な設営と風雨に強い耐性を持つ一人用か二人用のテント。
そしてファミリーキャンパーのテントとなれは、大型で快適性を追求したテントとなるでしょう。
そしてこのキャンプブームの中、キャンプ場でできるだけ他のキャンバーとテントが被らないように、珍しいメーカーや海外の高価なテントを買い求めるキャンパーもいらっしゃるようです。
では、恥ずかしながら自分のキャンプスタイルでのテントを元にお話を進めます。
自分が現在使っているテントは3つあります。
2人用テントが一幕、四人用テントを二幕、これを状況に合わせて使い分けています。
2人用テントは昭和の時代にバイクツーリング用に買い求めたものですが、未だに現役で使っています。
さすがに耐水性が落ちてはきましたが、タープ泊メインのキャンプや、真夏の長距離ドライブで暑さに耐えられない夜などに活躍してくれます。
パッキングするとスリーシーズンの寝袋とさして変わらぬ大きさとなるのでさしてかさばらずにジープの荷台に放り込んでおけます。
二つ目の四人用テントですが、これも購入してから15年ほどもたつ古い物です。
2人用テントと同じで何の変哲もないドーム型のテントで量販店のアウトドア売り場で比較的安く手に入れたものです。
耐久性の低いFRP製のポールが折れてしまい、アルミ合金製のポールに交換してからはトラブルもなく雨風の中でも普通に使えています。
どちらも可もなく不可もなしといった普通のドームテントですが、両方ともそれなりに名前の知られたメーカーの製品だったためか殆どノントラブルで現在に至っています。
ただ、どちらも前室がないので、長期間の滞在の時はタープとの併用が必要になってきます。
三つ目のテントは耐久性と天候の悪い時などに長期間幕内に籠っても不便を感じないであろう事を前提に選びました。
これだけはアメリカ製のコットンテントで、それなりに重量もありますが、夏の暑さから梅雨の時期の長雨、身震いするほど寒い夜などにも快適な環境を維持してくれます。
この3つのテントを季節やその土地柄使える時間などに合わせて使い分けています。
以前書いた通り自分はキャンプそのものを楽しむためにキャンプするという典型的なお籠りキャンパーなので、キャンプサイトでの居住性を優先的に考えたレイアウトで今に至っています。

今年の春先に設営したサイトです。
まだ肌寒い季節でしたが、物凄い数のブヨに集られてえらい目にあいました。
一見コバエのようなブヨは蚊取り線香の効果が低い虫ですので、注意が必要です。
真夏の暑い時は湖畔のサイトに出かけ、大きめのタープの下にドームテントを張り、日中はタープの下でビーチベットに寝ころがって冷たい物を飲みながら涼しい風の中で一休みです。
今や常識となっていますが、このタープもテントと同じくらいかあるいはそれ以上にキャンプでは重要なギアです。
強烈な夏の日差しを遮り、雨の中でもタープの下では濡れることなく自由な行動がとれます。
とてつもない豪雨に見舞われた時にも、自然の壮大なイベントをベッドに寝転がったまま観賞させてもらったものです。
急に辺りが暗くなり、パラパラとタープに当たり始めた雨粒が、一気にシャワーに変わって横を流れていた小川が濁流に変わり、地面に叩きつけられる豪雨のザーッ!!というという音と共に波打つ湖畔を眺めながら、クーラーボックスから取り出したビールを美味しくいただき、ゆったりと偉大な地球の息吹をその身で体験できるというのも、なかなかできない贅沢な時間です。
何日も山奥の野営場に籠るような時や、そろそろ外気が肌寒く感じるような時期になるとコットンテントの出番です。
このテントは自分のテントという物の概念を大きく変えてしまった存在です。
素晴らしく快適で頑強なこのテントは、実際の丈夫さと同時に心理的な安心感ももたらしてくれます。

買い込んできたお刺身で晩飯&晩酌の真っ最中です。
後はいかに良く考えたキャンプサイトを自分で作れるかが連泊キャンプの快適性を大きく左右します。
同じキャンプ場でもその季節、設営場所、天候、炊事場やトイレの距離、キャンプ場の込み具合、キャンプギアの選択などによって大きくサイト環境は変わってきます。
その違いを見極めて、最も快適で天候に影響を受けないようなサイトを作り出すことが、ベテランキャンパーの腕の見せ所です。

最高の展望の中、至福のひと時です。
今年もあと少しで終わります。
しかし、いつ終わるのか全く予想のつかないものが来年も続きます。
まるでトラップだらけの真っ暗な洞窟を手探りで歩いているような感覚です。
適正にワクチンが行き渡るまでまだ少し時間がかかるようです。
このウイルスの影響で国自体が疲弊し始めています。
手遅れにならないよう、一刻も早い解決を望みます。
皆さん、良い年末年始を迎えてください。
ではまた。
一気に真冬になりましたね。
この季節に異常な寒波と積雪による被害が各地で報告されています。
冬キャンプを楽しむ方々も十分注意してキャンプライフを満喫してください。
今回はタイトルの通り、テントについて少しお話してみたいと思います。
ベテランの方々に言わせれば、「何を今さら・・・」なんてご批判をいただきそうですが、ある程度テントという物の基本的な知識がなければ、国産一流メーカーから手ごろな値段の海外製品までものすごい数の中から自分のスタイルにマッチするテントを選び出すこともできません。
初めてテントという未知のモノを購入するときほんの手助けにでもなればと思います。
アウトドアに全く興味のない方々でも「テント」という存在を知らない人間というのもおそらく存在しないかと思います。
ただ、漠然とこんな形で野外にキャンプするときに、中で眠るための道具。といったイメージではないでしょうか?
まぁ、間違いではありませんが、そのテントが自分のようにアウトドアの活動を好む人間たちにとってどれだけ重要なギアであるかという事までは思いつかないとのではないでしょうか?
自分のような若輩が偉そうに言うのも何ですが「キャンプという野外の活動の良し悪しを左右する最重要なギア」と考えています。
したがってできるだけ妥協はしたくありません。
また、自分はこのようなキャンプをしたい。というはっきりとしたイメージを持たずに漠然と安さなどに吊られて購入してしまえばある時とんでもない目に合うかもしれません。
では、キャンプの主役とも言えるテントの選び方をお話してみたいと思います。
テントを購入するときの基準は人それぞれです。
ちょっとしたデイキャンプなら数千円の物でも十分です。
逆に真冬でもキャンプに望むようなヘビーユーザーであればギアの購入基準も厳しいものになっていくでしょう。
大切なのは自分がどのようにアウトドアを楽しみたいのか明確に目的意識を持つ事が大切だと自分は考えます。
デイキャンプや設備の整ったキャンプ場での一泊程度の宿泊であればさほどギアにこだわる必要もありません。
むしろ余り費用をかけずに自宅にある道具類でまかなうようにしたほうが趣味として長くアウトドアを楽しんでいけるかと思います。
問題となるのはそれ以上を望んだ時です。
自分は野山に出向いて行ってそこでいったい何をしたいのか?
ギア選びの基本は全てここからスタートとなります。
誰でも悩むのはどのようなテントが自分の目的に合致しているかよく分からないとゆうことでしょう。
Amazonなどのアウトドア商品のホームページを覗けば様々な国々メーカーからの製品が溢れかえっている状況ですので逆に初心者には選択肢が多すぎます。
ですのでせっかくこのような小さなblogに足を運んでくださった方々に自己流ではありますがちょとした選び方のコツをお話してみます。
自分的にはキャンプの日程は連泊を基本として計画を立てます。
むしろ一泊二日のキャンプというは、何か別の目的のためか、時間がない時以外殆どしたことがありません。
移動はJEEPで入れる所ならどこでも。
と、言ったとこでしょうか。
したがって重さや大きさはさほど気にはしなくても良いという状況です。
ここで自分が重視しているのは頑丈である事と居住性です。
連泊でのキャンプでは常に宿泊地の天候を確認していないと痛い目を見る事になります。
特に今年のように雨が多く時には豪雨に見舞われるような天候では、そうのんびりしていられない事もあるわけです。
ソロキャンプ一年目のとある男性のちょっとしたキャンプの一例です。
晩飯を食べ終わり、ゆったりと晩酌を始めた辺りに雨が降りだしてきました。
涼しくなるなあ。程度に考えていたら西の空が大きく光り雷鳴が鳴り響きました。
同時にバケツをひっくり返したような大雨がキャンプサイトを直撃。
大慌てでタープの下の荷物をまとめだしましたが、今度はタープが盛大に雨漏りし始めました。
たちまち焚き火は消え荷物を纏めてシートを被せているうちにタープの下も池になり始めました。
自分もずぶ濡れです。
そうこうしているうちに風が強まり出して、濡れた地面からペグが抜けそうです。
慌ててペグを打ち直しますが、付属品の細く短いピンペグでは全く役に立たず、真っ暗な森のなかを小さなペンライト一つ手に持って倒木や石を広い集めペグの重しにしました。
何度か滑って転び泥まみれです。
それでもようやくタープとテントのペグを固定し終えました。
しかし、タープに吊るしてあったランタンは水が入って点かなくなり、手元にあったペンライトもいつの間にかポケットから消えていました。
全身濡れ鼠泥まみれ、オマケに左手から出血しているようです。
多分転んだときに何かで切ったのでしょう。
手探りで真っ暗なテントの中に避難して叩き付けるような風と雨の中漸く一息入れた時です。
自分の身体の上にポタポタと雨水が滴っていることに気がつきました。
テントの壁ずたいにも水が染みだして、床のマットや寝袋なども濡れ始めているようです。
ここでは寝られない…
楽天家の彼もようやく事態の深刻さに気がつきました。
さっきまで動き回っていた身体が急激に冷え初夏とは思えない寒さに身体が震えているのです。
とにかく車に戻ろう。
手に入れたばかりの新車に、こんな格好で乗り込むのは流石に抵抗がありますが、そんなことは言っていられなくなりました。
ところが…
Keyが無い!
真っ暗なテントの中手探りでバックのなかを引っ掻き回してみるのですがいっこうに出てきません。
手元が滑り、道具類の入ったケースをひっくり返してしまいました。
床に物が散らばり、足の踏み場もありません。
……
ため息をつき、全てを諦めた彼は、隅っこに押しやっていたマットと寝袋を広げて中に潜り込みました。
余りの寒さにガタガタと身体が震えますが、どうすることも出来ません。
雨脚は弱まってきましたが風の勢いは強くなってきたように感じられます…。
うわ!
何かが顔の上に落ちてきました。
慌てて起き上がろうとして彼は気が付きました。
風の勢いでテントが倒壊してしまったのです。
幸いにも外は明るくなり始めていました。
疲れのせいでしょう、ほんの少しばかり眠ることが出来たようです。
ガチガチに凝り固まった身体を無理矢理動かし、潰れたテントから這い出した彼はその惨状に呆然となりました。
タープを支えていたポールはへし折れて泥の中に埋まっています。
裂けて吹き飛んだタープはガイロープごと愛車に絡まりペグが当たったのでしょう、ドアにいくつもの傷がが出来ていました。
テントの前に集めて置いたはずの道具類は殆どが飛び散って行方不明となっています。
振り返ってテントを見ればそれは最早テントの形をしておらず、まるで丸めたコンビニ袋のようです。
とにかく、帰ろう。
雨風の弱まっている今が撤収のチャンスです。
本当は二泊三日の予定でしたが、それどころではなくなりました。
キャンプの楽しさに目覚め、やっとギアを買い揃えたばかりでしたが暫くは再開できそうにありません。
彼はこのあと雨風に打たれながら二時間以上かけてキャンプ道具の残骸を回収、車に積み込むと帰路につきました。
只し、泥にはまりこんだ愛車を引っ張り出すのに更に小一時間を要し、自宅に着くなり高熱を発して寝込んでしまいました。
これ以降、彼が再びソロキャンプの趣味を再開したかは、不明のままです。
尚、探していたクルマのKeyですが、車にささったままだったそうです。
なんか物語調になってしまいましたが、このような最悪の事態はともかくとして、キャンプを長く趣味としている方々には幾つか思い当たる事があるのではないでしょうか?
テントの事をシェルターとも称するように、自然の中で暮らしていく家、そして雨風寒さ暑さ等の自然の脅威から身を守ってくれるのがテントと言う事になります。
今さら言うべきことでもありませんが、自然はいったん牙を剥けばあらゆる物に容赦はしません。
そんな時、言わば最後の砦ともなる重要なギアな訳です。
そしてそのキャンプ生活をサポートするための各種ギアの信頼性が、このような悪天候の時に大きくかかわってきます。
冒頭でも書きましたように天候を選んでのごく短期間なキャンプならいいのですが、自分のように時間の赦す限り山に籠りたいという人間にとっていかな環境にも耐えうる頑強なテントは必要不可欠なギアの1つであると言えます。
大分前置きが長くなってしまいましたが、自分がいかにテントを重要視しているか御理解されたかと思います。
さて話を進めましょう。
先ずは予算的な問題です。
たまに、安くて良いもの。と言う言葉を聞きますがテントの購入に関してはどうしても不安や不信感がつきまとう事になりますので、できるだけ名前の知られたメーカーの物で人気のあるテントを手に入れるのが無難です。
昔から耳にする有名メーカーが現在も生き残っている理由は「信頼性」なのではないでしょうか。
長い間に蓄積したノウハウを生かせる老舗のテントメーカーの製品が、日本の気候で使用する限り、テントとしての役割を果たせないなとどいう事は通常ありえないからです。
海外メーカーの格安なテントに比べ、確かに割高にはなりますが、それは製品と共に信頼も買うのだという考えで理解していただければお財布の紐も緩めやすいのではないでしょうか?
また、良いテントは幕の縫製や材質、ポールなども良い物を使っているので長く愛用できる利点もあります。
たとえ壊れてもメーカーがリペアパーツを用意していたり、テントの保証期間を設けているメーカーもあります。
その点無名の海外メーカーの製品では壊れたらそこまでで、逆に使い捨てる程度の感覚で購入するべきでしょう。
ただし、最近は高品質なギアやしっかりしたアフターを展開している海外メーカーも出てきているので、国内海外の有名メーカーもおちおちとはしていられないようですね。
冒頭でも書きましたように、何のためのキャンプか?
ここが出発点です。
例えば登山者の考えるキャンプとファミリーで野外のBBQなどを楽しむキャンプではギアについての価値観が全く異なってきます。
当然テントの購入基準など全く逆のものになるでしょう。
登山者が選ぶとなれば、当然のこととして、小型軽量、容易な設営と風雨に強い耐性を持つ一人用か二人用のテント。
そしてファミリーキャンパーのテントとなれは、大型で快適性を追求したテントとなるでしょう。
そしてこのキャンプブームの中、キャンプ場でできるだけ他のキャンバーとテントが被らないように、珍しいメーカーや海外の高価なテントを買い求めるキャンパーもいらっしゃるようです。
では、恥ずかしながら自分のキャンプスタイルでのテントを元にお話を進めます。
自分が現在使っているテントは3つあります。
2人用テントが一幕、四人用テントを二幕、これを状況に合わせて使い分けています。
2人用テントは昭和の時代にバイクツーリング用に買い求めたものですが、未だに現役で使っています。
さすがに耐水性が落ちてはきましたが、タープ泊メインのキャンプや、真夏の長距離ドライブで暑さに耐えられない夜などに活躍してくれます。
パッキングするとスリーシーズンの寝袋とさして変わらぬ大きさとなるのでさしてかさばらずにジープの荷台に放り込んでおけます。
二つ目の四人用テントですが、これも購入してから15年ほどもたつ古い物です。
2人用テントと同じで何の変哲もないドーム型のテントで量販店のアウトドア売り場で比較的安く手に入れたものです。
耐久性の低いFRP製のポールが折れてしまい、アルミ合金製のポールに交換してからはトラブルもなく雨風の中でも普通に使えています。
どちらも可もなく不可もなしといった普通のドームテントですが、両方ともそれなりに名前の知られたメーカーの製品だったためか殆どノントラブルで現在に至っています。
ただ、どちらも前室がないので、長期間の滞在の時はタープとの併用が必要になってきます。
三つ目のテントは耐久性と天候の悪い時などに長期間幕内に籠っても不便を感じないであろう事を前提に選びました。
これだけはアメリカ製のコットンテントで、それなりに重量もありますが、夏の暑さから梅雨の時期の長雨、身震いするほど寒い夜などにも快適な環境を維持してくれます。
この3つのテントを季節やその土地柄使える時間などに合わせて使い分けています。
以前書いた通り自分はキャンプそのものを楽しむためにキャンプするという典型的なお籠りキャンパーなので、キャンプサイトでの居住性を優先的に考えたレイアウトで今に至っています。
今年の春先に設営したサイトです。
まだ肌寒い季節でしたが、物凄い数のブヨに集られてえらい目にあいました。
一見コバエのようなブヨは蚊取り線香の効果が低い虫ですので、注意が必要です。
真夏の暑い時は湖畔のサイトに出かけ、大きめのタープの下にドームテントを張り、日中はタープの下でビーチベットに寝ころがって冷たい物を飲みながら涼しい風の中で一休みです。
今や常識となっていますが、このタープもテントと同じくらいかあるいはそれ以上にキャンプでは重要なギアです。
強烈な夏の日差しを遮り、雨の中でもタープの下では濡れることなく自由な行動がとれます。
とてつもない豪雨に見舞われた時にも、自然の壮大なイベントをベッドに寝転がったまま観賞させてもらったものです。
急に辺りが暗くなり、パラパラとタープに当たり始めた雨粒が、一気にシャワーに変わって横を流れていた小川が濁流に変わり、地面に叩きつけられる豪雨のザーッ!!というという音と共に波打つ湖畔を眺めながら、クーラーボックスから取り出したビールを美味しくいただき、ゆったりと偉大な地球の息吹をその身で体験できるというのも、なかなかできない贅沢な時間です。
何日も山奥の野営場に籠るような時や、そろそろ外気が肌寒く感じるような時期になるとコットンテントの出番です。
このテントは自分のテントという物の概念を大きく変えてしまった存在です。
素晴らしく快適で頑強なこのテントは、実際の丈夫さと同時に心理的な安心感ももたらしてくれます。
買い込んできたお刺身で晩飯&晩酌の真っ最中です。
後はいかに良く考えたキャンプサイトを自分で作れるかが連泊キャンプの快適性を大きく左右します。
同じキャンプ場でもその季節、設営場所、天候、炊事場やトイレの距離、キャンプ場の込み具合、キャンプギアの選択などによって大きくサイト環境は変わってきます。
その違いを見極めて、最も快適で天候に影響を受けないようなサイトを作り出すことが、ベテランキャンパーの腕の見せ所です。
最高の展望の中、至福のひと時です。
今年もあと少しで終わります。
しかし、いつ終わるのか全く予想のつかないものが来年も続きます。
まるでトラップだらけの真っ暗な洞窟を手探りで歩いているような感覚です。
適正にワクチンが行き渡るまでまだ少し時間がかかるようです。
このウイルスの影響で国自体が疲弊し始めています。
手遅れにならないよう、一刻も早い解決を望みます。
皆さん、良い年末年始を迎えてください。
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