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2022年12月24日

ソロキャンプデビューを目指してる方々へ

こんにちわ、Masada556です。


いよいよ年の瀬も押し迫りました。
東北三県では殆どのキャンプ場が10月から11月いっぱいで今年の営業を終えてしまいました。
特に今年も雨の多い年だったので、終盤のキャンプくらいは仲の悪い天候の神様にゴマをすってでも出掛ける覚悟を決めていましたが、何とか12月の頭に一泊キャンプが出来ました。
何とも物寂しい気持ちでキャンプ場を後にしました。


では今回は、ソロキャンプデビューを考えている皆様へ、ちょっとしたアドバイスとお節介な話をしていきます。

人生最初のキャンプでソロを目指すという人も中々居ないでしょうから、皆さんそれなりのキャンプ経験は積んでいるかと思います。
家族や仲間達との楽しいキャンプから一歩踏み出そうとしているあなた
は、キャンプの新たな一面を見出したと考えても間違いは無いでしょう。

人間とは集団の力で文明を築き上げてきた生き物です。
それを敢えて本来現代人が恐れる自然の中の孤独に身を置きたいと考えている訳ですから、自分でも気がつかないうちに気持ちの変化があったのでしょう。

個人的には ”ようこそ、こちら側へ” と言った感じなのですが、その裏側と言いますか、見えない何かの事が今回のお話という認識で読んでいただけると幸いです。
また以前書き込みました、ソロキャンプの魅力 から繋がっていく話であると理解していただけると分かりやすいかと思います。

今回は多少非難めいた表現も出てきますが、他のキャンパーの方々を攻撃非難するような意図ではないことを最初に明記しておきます。
どうか誤解無きようお願い致します。

では、本題に入ります。

一体何を言いたくてこんな回りくどい事を書いているのかと言うと、自然の中にたった一人で入り込んで行くことに、

”できるだけしっかりした準備と心構えを持ってください”

そうお願いしたいのです。

野山の中で過ごすキャンプと言う趣味では当然ですが、自然の優しい面だけ見ている訳にはいきません。

1、自然があなたに与える脅威
2、最近ネットでも見かける事が多くなってきました、他のキャンパーや得体の知れない人間の脅威。
3、人里離れた地での不可思議なモノの脅威。

今回はこの三つについて自分の体験や他の色々な方々から伺った体験談等を交えながらお話していきます。


1、皆さんは深い森の中を散策したことがありますか?
それはとても気持ちの良いものです。
地上に光の波を作り出す木漏れ日の中、森が作り出す新鮮な大気を胸いっぱいに深呼吸してみれば、その素晴らしさに驚く事と思います。
こんな場所で一杯の珈琲を味わおうと、驚くほど冷たい沢の水を汲み上げている時に、五メートル程の対岸の向こうの茂みの中に、何かが動きました。
ホンの十秒程で真っ黒な四つ足の動物が姿を現しました。
そう、熊です。
体長1、2メーター程、体重は恐らく自分より重いでしょう?
その時の自分は渓流の岩に四つん這いになって右手で水を汲んでいる体勢です。
小型の月ノ輪熊とは言え、全くの無防備な体勢、あり得ない程の至近距離の遭遇に身が凍りました。
恐らく沢に水を飲みに降りてきたのでしょう、たまたま風下側だったので熊も自分に気がつかなかったかと思います。
意識が恐怖だけで埋めつくされるなか、水筒代わりのペットボトルを離し、ゆっくりと腰のナイフに手を伸ばしたのは覚えています。
もちろん視線は熊に釘付けです。
微かに感じる獣臭さ、熊はこちらを見るでもなく岩の間をほじくっていましたが直ぐに向きを変え茂みの中に消えていきました。
感覚が人間等とは比較にならない熊が、目の前で無様な姿を晒している自分に気がつかない訳がないのです。
ドッカリと岩の上に座り込んで呆けたように息を整えていたのですが、
急に押し潰されそうな恐怖が背筋を走り、沢の小道を車に戻ります。
絶対に走ってはいけません。
対岸の熊は確実に自分を観察しているはずです。
野生動物は他の生き物の気配に敏感なのです。
自分の目の前に這いつくばるような、間抜けな生き物に恐怖の臭いを感じたら、この危うい均衡が崩れるかもしれないのです。
ゆったりと、散歩を楽しんでいるかのように、ゆったりと足を運びます。
数十メーター先に見えているJeepの姿がこれほど遠いものかと感じ、全身にビッショリと嫌な汗が吹き出し、直ぐ後ろに熊が着いてきているという幻想に絶叫を上げて走り出しそうになります。

結局のところ何事も起こらず、Jeepに戻って何キロか走った後小さなパーキングに車を止め、クーラーボックスから取り出した冷えたペプシを一気飲みしてから、現実に戻ってきました。

ゲンキンなモノで、ついさっきまでの恐怖は全く感じません。
ヤバかった。
ただそれだけが残りました。


いずれ熊と直に遭遇する事態に、自分なりにシュミレーションしていたつもりでしたが、あんな無防備な体勢での近距離遭遇は思い付きませんでした。
思い返せば、シースから抜きかけていたナイフを、途中で右手が止めた事が、助かった要因のひとつだったと考えます。
周囲に漂った微かな鉄の匂いに、面倒事を嫌った熊が身を退いたのでしょう。
もし引き抜いて身構えていたなら、攻撃の気配を感じ取った熊と、命のやり取りとなったかもしれません。
体勢が不利、渓流の中足元も不備、そして命懸けの戦いに突入する気構えが全く成っていない自分が、恐怖に駆られて抜いたナイフなど、怒りモードに入った熊にとってはつま楊枝程度のモノだったでしょう。

自分の見通しの甘さを痛感した一日でした。

これは特殊な例でもなんでもありません。
実際にキャンプ場で熊に教われる被害がニュースや全国紙で報道されています。
また熊に限らず様々な野生動物との遭遇は当たり前のようにあり得ることと考えてください。
特にここ東北ではちょっと山に入れば熊に注意の看板はいくらでも目にします。
それだけ熊との遭遇は珍しい事ではないのです。
それらに対して、しっかりとした対策と心構えは怠らない事です。

なんと言っても、今ここにいるのはあなた一人なのですから・・・


2、ここ数年残念なことにキャンプ場での盗難、女性キャンパーへの暴行事件、キャンプ場からの女児の失踪事件などがニュースやネットでも大きく取り上げられるようになりました。
そのうちにキャンプ場に交番の設置やガードマンのパトロールが必要になるのではないでしょうか?

残念なことです。

しかし嘆いていても事は始まりません。
これからもキャンプという趣味を続けていくからには、しっかりした対策をとらなければいつか自分が被害者の立場に立たされるかも知れないのです。

ここからは自分個人が行っている対策方法なども織り混ぜたお話になります、ちょっと刺激が強めな事例などもありますのでどうかご容赦を。

まずキャンプ場に入り込んでくる犯罪者を、気の迷いでたまたまやってしまったのではないか。とか、解放感や酒が行きすぎてうっかりとやらかしてしまったのだろう。などと良心的な解釈で見ない事です。

確かに酒が過ぎて問題を起こす者もいますが、計画的にキャンプ場に入り込んでくる犯罪者は、そんな甘いものではありません。

彼らは、自分達の犯罪が十分遂行可能、あるいは成功する可能性が高い、そして怪しまれたり逮捕される可能性が低いこと。
それらを冷静に計算して、都市から離れたキャンプ場にワザワザ足を運んでいるのです。

当然それに対応した心構えで不審者に対処しなければならない訳です。
例えば、”あの人はあの木陰でいったい何をしているのだろう?”
そんな感覚を覚えたら、その感覚を気のせいだろう。などと決して考えない事です。

大きな街中の公園であれば、木陰のベンチで一休みしている人もいるでしょう。
公園の奥でひとときを楽しんでいるカップルがいても、何の不思議もありません。
ただキャンプ場、特に人気の少ない野営場で不可解な行動をしている人物を目にしたら、決して不用意に目を離さない事です。

例えば、その人物の服装や雰囲気に違和感を感じないか?
行動や態度に不振なものや粗暴な感じがしないかなど、キャンプを楽しむというような感覚から何か外れているような違和感を覚えるかも知れません。
管理人のいるキャンプ場なら、どの辺りの場所にこんな服装で何かを覗き込んでいるような不振な者がいる。

出きるだけ具体的に管理人に報告することです。

ただ漫然と、変な人がいる。だけでは報告された管理人も”何かの勘違いなのでは”から物事を考えるので、初動が遅れたりして結局見失ってしてしまえばワザワザ報告した意味が無くなってしまいます。
逆に適切な報告であれば、ヒトは動いてくれます。
あそこのキャンプ場は不審者がウロウロしていて怖い。
そんな噂でもネットに流れてしまえば、確実に利用者の減少に繋がるからです。

さらに一歩進めて”自分の身を守る”事を最優先とします。
その不審者が何を求めているかを考えて見ることが必要です。

例えばファミリーが多く、混雑しているようなキャンプ場であれば、キャンプギアや貴重品の盗難を目的としている可能性が高いでしょう。
逆に人気の少ない山奥の野営場などでは、ソロキャンプ中の婦女子への暴行や駐車場に停めてある車の車両荒しや盗難等が考えられます。
したがって、そのような犯罪者の傾向を見定め、自分のキャンプサイトの状況をしっかり把握することです。

例えば自分のテントのすぐ側に深い茂みがあって、その奥は良く見えない。
あるいはソロを楽しみたくて。周囲に誰もいないような場所にテントを張っている。
など、犯罪目的で接近してくる不審者から自分とテントサイトはどのように見えているのか?
この辺りの判断から始めてみましょう。
そしてしっかりと対策も考えて見るべきです。

もしキャンプサイトから、何かギヤを盗まれた。としたら、それはあなたに犯罪者がつけこむ隙があったと考えてください。
今回は助かったのだと。
次はあなた自身が犯罪に巻き込まれる可能性が高いということです。
私利私欲で物を考える日本人が増え、爆発的に外国人犯罪者が増加している今の日本。
これが現実です。

3、今までの書き込み等からお分かりいただけるかと思いますが、自分はキャンプ以前に野山をJeepで走り回る事が大好きです。
しかしここ何十年かの違法投棄やどこにでも車を停めたりゴミを捨てていくマナーの悪い釣り人や山菜採りのおかげで、立ち入り禁止の看板と道を塞ぐロープに、趣味の範囲は狭められ続けています。
そのような狭められた状況のなかで、素晴らしい景色や美しい景観を目にすると、とても感動を覚えるものです。
そしてそんな景色に出会える時はなぜかいつも一人なのです。
そんな素晴らしい瞬間を少しでもとどめようとシャッターを切るのですが、所詮素人の写メです。
あとで画像を確認してもそのときの感動を半分も覚えないのです。
しかしその時の状況だけは目の奥にしっかりと焼き付いています。

そんな自分が今まで体験した不可思議な事や体験談をうかがった不思議なお話をいくつか紹介します。


○携帯電話が普及し始めたころと記憶しています。
フラッと出掛けた岩手の奥地で道路脇に車を止め、体を伸ばしながらマップを確認していました。
秋晴れの昼前で、珈琲片手に一服していた時、

カランカラン・・・カランカラン・・・

遠くから熊鈴の音が微かに聞こえるのどかな風景でした。

タバコを揉み消してその林道と思われる(地図には載っていないため正確な場所は不明)細い道を30分ほど走ると道路が二股に別れます。
どちらも同じくらいの広さで、どちらを選ぶか判断できません。
また車を脇に寄せ、少しばかり道を歩いて見ます。
路面に残っているタイヤ痕の多さとタイヤパターンの違いで見当をつけます。
左の道は大型トラックが走ったようなゴツいタイヤ痕が多く、造林業者さんの使っている作業道路と判断、左の道に入ろうと車に戻ろうとしたときでした。

カランカラン・・・カランカラン・・・

また熊鈴の音色が聞こえてきました。

たぶんさっきと同じ音です。
熊鈴の音は特徴あるものも多く、聞き分けることも難しくはありません。

カラン・・・カランカラン・・・

しかも、

”近いな・・・”

熊鈴の聞こえる場所とは大体決まっていて、要するに登山道か何かのハイキングコースでなければ聞こえてくるという事はありません。

ここは山間部の峠道です。

”こいつは、サッサと離れた方がいいな。”

車に乗り込み数分走ると、ガードレールや注意標識が見えたので間違っていなかったことがわかります。
標識があるという事は、その道路は少なくとも市町村が管理していることになり、廃道でもない限りどこかの道に繋がります
逆にガードレールも何もない道路は、個人が作った作業用の私道である可能性が高いのです。
走っていると山道は沢沿いの細い道に繋がりました。
とうに昼を過ぎていたので飯にしようと脇道にそれ、道路脇にシートを広げて蚊取り線香に火をいれ、湯を沸かしカップ麺とおにぎりを堪能したあと、少し横になります。
自分は昼食後必ず仮眠をとることにしています。
秋晴れの中、意識が遠退いていきます。

カランカラン・・・カラン・・・カランカラン・・・

跳ね起きました。

ものすごく近い! ヘタするとすぐ側!!

車の中にシートと細々とした道具類蚊取り線香を放り込み、アクセルをおもいっきり踏み込みます。
・・・・・人家が見え始め、販売機の前に車を止めてコーラを買い込み、一服しながら考えました。

”あれはいったい何だったのか?”

今でもわかりません。


○真冬の冬山に友人と猟に出掛けた時の事です。

狩猟というのはあてずっぽうに山を歩いても、そう簡単には獲物に出会うことはありません。
猟期以外に山を調べて走ったり、川の位置、餌場の場所、隠れる事ができる藪の位置など地形を読んで当たりをつける訳です。
自分達二人もそんな場所の側に車を止め、装備を身に着けていたときです。
すぐ目の前の小道を鞄を持った中学生程度の男の子が歩いていきました。

サクサクと雪を踏みしめながら自分達の前を通りすぎ、下り道を曲がっていきます。

「どこに行くってンだ?」
「おかしいな・・・?」
自分達は不可思議に顔を見合わせます。
そして、手早く装備を身に着けて彼の後を辿ります。

30メーターも歩いたでしようか。
彼には追い付けませんでした。
自分達が追いかけた雪道に残る一対の足跡、それはろくに除雪もしていない山奥に通じる道です。
そもそもここは道路ですらないのです。
自分達が車を止めるために分け行った、猟場の側の田んぼか畑に通じる畦道で、50メーターも戻れば普通に道路が通じているのです。
そんな畦道を、山に向かって中学生が歩いていく理由がわかりません。
さらに言えばこの周囲数キロ以内で人家を見かけた記憶はありません。

自分達二人は雪が降りしきるなか、足跡が続く山道を無言で見つめるだけでした。


○これは日本海側に遊びに行った時の事です。
出発がすっかり遅れてしまい、目標としていた十二湖から帰ろうとしたときには辺りも薄暗くなり出した午後6時過ぎ。
駐車場にもほとんど車はなく誰も人はいませんでした。

十二湖とは青森県を跨いでここ八戸市から反対方向にある深浦町にある風光明媚な観光地で片道200キロ以上、およそ4時間以上のドライブとなります。
途中の休息時間も考えると今日中に自宅にたどり着けるか微妙なところです。
当時はまだ若かったのであまり気にもせず、最短ルートと考えた十和田八幡平国立公園の山の中を夜間にたった一台で突っ切るルートを選択したのです。
何度も走っているルートなので、自分にとっては明るいか暗いか程度の違いでしかありません。
むしろ危なっかしいサンデードライバーや追い越せない観光バスなどが居ない分走りやすい位です。
そして快調に山道を走っているとき訪れるべきものが下半身に訪れ、公衆トイレなどはもちろんないので、道路脇に車を止め、天空の素晴らしい星空を堪能しながら用を足していると、
 
真っ黒い何かが頭の上を通過していきました。

それは何の音もせず、木々の梢の上を掠める位の高さを飛行していきました。

恐らく鳥でしょう。

しかし翼端から翼端まで、4メートルから6メートル?

何の目標物のない空中の物体の大きさですから、ハッキリとはわかりません。
もっと大きいかも、逆に小さかったかもしれません。
羽ばたきひとつせず目の前を滑空して木々の間に消えていきました。
その間恐らく数秒。降ってきそうな星空を背景に、黒い影は確かに存在していました。



○この話は野営場で親しくなったベテランキャンパーからうかがったお話です。

その方は家族と何回か行ったキャンプ以外は、30年以上全てソロと言う筋金入りのソロキャンパーで、足の向くまま行けるところならどこにでも行ってソロキャンプするという大先輩のようなお方でした。
ただし設備の整った今風のキャンプ場と、混雑は苦手。
という方だったので自分と話が合い、お互い話が弾んだのです。

その方が、
「一度だけキャンプしてて逃げ出した事がある」
そう言い出しました。

「何か問題でも起きましたか?」

「いや、馬鹿馬鹿しいかもしれないが・・・」

話はこうです。

コロナによるキャンプブームなんてものが起きるはるか以前の話。


その方を仮にBさんとします。
仕事が立て込んで中々まとまった休みが取れなかったBさんは、秋の初め頃ようやく3連休を取って山中の野営場にテントを張ったそうです。
ご存じの通り、野営場と言うのは、トイレと炊事場ががあるだけの最低限の施設だけを備えたキャンプ場の事。
平日だったそうで、まだキャンプブームなんてものが無かった時代なので、キャンプ場には誰もおらず、静かなソロキャンプを楽しんでいたそうです。

初日の夕方、晩飯の準備に入る前にトイレに行ったらトイレのドアが開いていたそうなので、用を済ませたあとしっかりとドアを閉めて、テントに戻りました。
そして寝る前にトイレに行くと、またドアが開いている。
・・・?
そのドアはどこでも良く見る、握り玉と呼ばれる真ん中に鍵穴がついた取っ手を回して開閉するドアで、建て付けてまだ新しい物で、閉じてしまえば簡単に開く物では無かったそうです。
そのトイレは炊事場から少しばかり離れた所に建っており、炊事場の灯りで周囲を見回しても人の気配は全く無く、違和感を感じながらテントに戻ったそうです。
そして、その夜・・・・
深夜のこと、ビールを飲み過ぎたせいでしょう。
下半身に切迫した危機を感じた彼は、何となく嫌なものを感じながらもライト片手にトイレに向かいました。
その時トイレのドアは閉まっていたそうです。
ホッとしてトイレのドアに手を伸ばした瞬間、

バンッ!!

誰かが内側から蹴飛ばしたような勢いで、ドアが開いたそうです。
薄暗いトイレの中には誰もいなかった事だけは間違いなかったと本人は言っています。

うを!

悲鳴をあげて彼は車に飛び乗り、何もかも投げ出して逃げ出したそうです。

M「それは怖いですね」

B「う~ん、あれは何だったんだろう。
・・・あなたにはそんな体験はないのかい?」

M「俺ですか・・・俺はそう言うモノを見る事はあまりできないみたいですけど、幾つか不思議なモノを見たり聞いたりしたことはあります」

B「ほう、聞きたいね」

M「いいですよ。
これは観光地のトイレで知り合いが体験した話なんですが・・・」

地名は伏せますが、そこは岩手県、地元では知らぬ者などいない有名な観光地です。
数100メーターは切り立った岩山の崖から巨大な岩棚が突きだし、そこから下を覗き込めば、どんな強心臓の持ち主でも身がすくむ思いをするでしょう。
そしてその突端のは小さな祠が祭ってあり、お酒などが供えてあります。
実際はその場所に行くには危険が伴うので、小道の入り口には簡単な柵で塞がれています。
そこには大きな展望台が設置されているので、どなたでも見晴らしのよい景色を楽しむことができます。
車も数台駐車が可能で、最近は整備された小綺麗なトイレも設置されてるようです。
人気もほとんどなく、落ち着いた雰囲気の観光名所です。

そこに平成の最初の辺りでしょうか?
知り合いが訪れたそうです。

もう夕方で缶コーヒーとタバコをお供に風景を楽しんだあと、車に乗る前に大きい方を処理しようと個室に入ったそうです。
本当に小さなトイレで、男性用小がひとつ、個室がひとつ。
幸いロールペーパーは供えてあったので、ゆっくりと用を足していると、

バタン

隣の女性用トイレに誰か入って来ました。
そして、

「おかあさん、おかあさんっ」

入ってきたのは少女らしく、母親を探しているらしいのです。

「おかあさん、どこ、おかあさん」
ドンドンとドアを叩く音が聞こえてきます。
「おかあさん、おかあさんっ!」

半ベソ状態の少女がトイレを飛び出して行きました。

ようやく爆撃が完了し、後始末を終えた彼はジーンズを引き上げ、下半身をチェックしてからトイレを飛び出したそうです。
いかに緊急事態とは言え、ズボンをずり下げた状態で少女を追いかけていたのでは、どのような理由があろうと、問答無用で逮捕されます。

蹴飛ばすようにドアを開け、周囲を見回し少女の姿を探します。

見当たらなかったそうです。

「・・・?」

展望台に戻ると自分の車が止まっているだけ。
当然あるはずのもう一台の車はありません。
ここは山の中、人家は15分も細い山道を下った下です。
そのまま道を上っていってもただ山奥に踏み込んで行くだけで、車でも走行困難になるような道です。

「どこにいった・・・?」

なんとも言えない違和感を感じながらも、夕暮れの中10分程度辺りを探したそうですが、とうとうその姿を見つけ出すことはできなかったそうです。

少女がトイレを出てから、後を追うまでの時間は30秒程度。
駐車場に車が無いいじょう、少女は徒歩でこんな山奥に母親を探して単独で来たのか。
道を挟んで反対側は急な法面、展望台側はそれこそ崖で、探すところはどこにもないのです。

そこまで考えてから彼はとある噂を思い出しました。
その岩棚は有名な自殺の名所であるという、真偽の疑わしい話を。
もし、本当に、あそこから親子が無理心中を計ったとしたら、とてつもない高さからの落下です。
途中何かにぶつかって親子の手が離れ、別々の場所に落ちてしまえば・・・

そんなことを考えながら彼は車のキーを捻り、慎重に暗い山道を下ったそうです。


B「もしその女の子が死んだ事に気づいてなくて、いつまでも母親を探しているのなら、なんとも哀れな話だな」

M「死人に同情するのは厳禁だそうですが、可愛そうな話です」

B「・・・テレビのバラエティ番組やネットに乗っているような心霊話の大半は、見間違いや暇な若者の戯言なんだろうが、不思議なことってのは、あるからねぇ」

M「ありますよね」

そうして、彼のテントの前で焚き火とランタンの明かりの中、色々な話が深夜まで続き、翌朝、いつかどこかでの再開を約束し、さっぱりとお別れしたのでした。

希に出会う、このような一期一会も、ある意味ソロキャンプの魅力なのかもしれませんね。



今回はいつもと少しばかり毛色の違った話になりました。

自分的には女性のソロキャンパーが増えてくださるのは良いことだと思います。

技術的にも精神的にもシッカリと自分の面倒を見れる方であれば、老若男女を問わないのがこの世界です。

ただ、インスタ映えするからとか、友人に自慢したいからと言った、何か勘違いしているような理由でのソロキャンプは、”もしもの時”自分と周囲にどのような結果をもたらすか今一度良く考える事です。

今年の投稿はこれで終わりたいと思います。
来年もまたよろしくお願いします。

皆様良いお年を

では、また、


























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